盗聴法強化法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(抄))

盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律
の条文へ

 以下は2015年[平成27年]3月13日、安倍晋三内閣が提出した盗聴法強化法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律案)から、盗聴法強化の条文を抜粋したものです。全文は法務省「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を御覧下さい。
 「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」対象となる11法案は、刑事訴訟法、刑法、検察審査会法、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(盗聴法)、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律、不正競争防止法、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律、更生保護法、刑法等の一部を改正する法律。以上の法の改正案です。
 なお、衆議院サイトでも「閣法 第189回国会 42 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」で公開される予定です。


  刑事訴訟法等の一部を改正する法律

(中略)

 (犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部改正)
第六条 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成十一年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第一号中「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、「もの」の下に「(別表第二に掲げる罪にあっては、当該罪に当たる行為が、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものに限る。次号及び第三号において同じ。)」を加え、同項第二号中「別表に掲げる罪が」を「別表第一又は別表第二に掲げる罪が」に改め、同号イ及びロ中「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、同項第三号中「禁()」を「禁錮」に、「別表」を「別表第一又は別表第二」に改め、同条第二項中「別表」を「別表第一」に改める。
 第十四条中「別表」を「別表第一若しくは別表第二」に改める。
 別表を別表第一とし、同表の次に次の一表を加える。 別表第二(第三条、第十四条関係)
 一 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)第一条(爆発物の使用)又は第二条(使用の未遂)の罪
 二イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八条(現住建造物等放火)の罪又はその未遂罪
  ロ 刑法第百九十九条(殺人)の罪又はその未遂罪
  ハ 刑法第二百四条(傷害)又は第二百五条(傷害致死)の罪
  ニ 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)又は第二百二十一条(逮捕等致死傷)の罪
  ホ 刑法第二百二十四条から第二百二十八条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
  ヘ 刑法第二百三十五条(窃盗)、第二百三十六条第一項(強盗)若しくは第二百四十条(強盗致死傷)の罪又はこれらの罪の未遂罪
  ト 刑法第二百四十六条第一項(詐欺)、第二百四十六条の二(電子計算機使用詐欺)若しくは第二百四十九条第一項(恐喝)の罪又はこれらの罪の未遂罪
 三 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第七条第六項(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等)又は第七項(不特定又は多数の者に対する提供等の目的による児童ポルノの製造等)の罪
第七条 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部を次のように改正する。 目次中「第十八条」を「第二十三条」に、「第十九条―第二十七条」を「第二十四条―第三十四条」に、「第二十八条―第三十条」を「第三十五条―第三十七条」に、「第三十一条・第三十二条」を「第三十八条・第三十九条」に改める。
  第二条に次の三項を加える。
 4 この法律において「暗号化」とは、通信の内容を伝達する信号、通信日時に関する情報を伝達する信号その他の信号であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの(以下「原信号」という。)について、電子計算機及び変換符号(信号の変換処理を行うために用いる符号をいう。以下同じ。)を用いて変換処理を行うことにより、当該変換処理に用いた変換符号と対応する変換符号(以下「対応変換符号」という。)を用いなければ復元することができないようにすることをいい、「復号」とは、暗号化により作成された信号(以下「暗号化信号」という。)について、電子計算機及び対応変換符号を用いて変換処理を行うことにより、原信号を復元することをいう。
 5 この法律において「一時的保存」とは、暗号化信号について、その復号がなされるまでの間に限り、一時的に記録媒体に記録して保存することをいう。
 6 この法律において「再生」とは、一時的保存をされた暗号化信号(通信の内容を伝達する信号に係るものに限る。)の復号により復元された通信について、電子計算機を用いて、音の再生、文字の表示その他の方法により、人の聴覚又は視覚により認識することができる状態にするための処理をすることをいう。
 第四条第一項中「次項」を「以下この条」に、「同項及び同条」を「以下この条及び第七条」に改め、同条に次の一項を加える。 3 第二十条第一項の許可又は第二十三条第一項の許可の請求は、第一項の請求をする際に、検察官又は司法警察員からこれをしなければならない。
 第五条に次の二項を加える。 3 裁判官は、前条第三項の請求があったときは、同項の請求を相当と認めるときは、当該請求に係る許可をするものとする。 4 裁判官は、前項の規定により第二十条第一項の許可をするときは、傍受の実施の場所として、通信管理者等(通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者(会社その他の法人又は団体にあっては、その役職員)又はこれに代わるべき者をいう。以下同じ。)の管理する場所を定めなければならない。この場合において、前条第三項の請求をした者から申立てがあり、かつ、当該申立てに係る傍受の実施の場所の状況その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、指定期間(第二十条第一項に規定する指定期間をいう。以下この項において同じ。)における傍受の実施の場所及び指定期間以外の期間における傍受の実施の場所をそれぞれ定めるものとする。
 第六条に次の一項を加える。 2 裁判官は、前条第三項の規定により第二十条第一項の許可又は第二十三条第一項の許可をするときは、傍受令状にその旨を記載するものとする。
 第三十二条中「第十四条」を「第十五条」に改め、同条を第三十九条とし、第三十一条を第三十八条とする。
 第四章中第三十条を第三十七条とする。
 第二十九条中「第二十二条第二項第一号又は第三号」を「第二十九条第三項第一号若しくは第三号又は第四項第一号若しくは第三号」に改め、同条を第三十六条とする。
 第二十八条中「の傍受」の下に「若しくは再生」を、「した通信」の下に「(再生をした通信を含む。)」を加え、同条を第三十五条とする。
 第二十七条第一項中「第二十条第三項」を「第二十五条第四項若しくは第二十六条第四項」に改め、第三章中同条を第三十四条とする。
 第二十六条第二項中「の傍受」の下に「又は再生」を、「傍受の実施」の下に「又は再生の実施」を加え、同条第三項中「傍受の処分」を「傍受又は再生の処分」に改め、「の記録」の下に「並びに当該傍受の処分に係る一時的保存をされた暗号化信号」を加え、同項第一号中「傍受」の下に「又は再生」を加え、「第二十二条第二項各号」を「第二十九条第三項各号又は第四項各号」に改め、同項第二号及び第三号中「傍受」の下に「又は再生」を加え、同条第六項中「第二十二条第五項」を「第二十九条第七項」に改め、同条を第三十三条とする。
 第二十五条第二項中「された通信」の下に「(第二十条第一項又は第二十三条第一項第二号の規定による傍受の場合にあっては、第二十一条第一項又は第二十三条第四項の規定による再生をされた通信)」を加え、同条第四項中「第二十一条第二項」を「第二十七条第三項及び第二十八条第三項」に改め、同条第六項中「第二十三条」を「第三十条」に、「第二十五条第三項」を「第三十二条第三項」に改め、同条を第三十二条とし、第二十四条を第三十一条とする。
 第二十三条第一項第六号中「第十四条」を「第十五条」に改め、同条を第三十条とする。
 第二十二条第一項中「、傍受の実施」の下に「(第二十条第一項又は第二十三条第一項第二号の規定によるものを除く。以下この項において同じ。)」を加え、「(以下「傍受記録」という。)」を削り、同条第五項を同条第七項とし、同条第四項中「第二十条第三項」を「第二十五条第四項又は第二十六条第四項」に改め、「通信」の下に「(第二十一条第一項又は第二十三条第四項の規定により再生をした通信及びこれらの規定による復号により復元された通信を含む。次項において同じ。)」を加え、同項を同条第六項とし、同条第三項中「前項第二号」を「第三項第二号又は前項第二号」に、「第十四条」を「第十五条」に、「傍受記録」を「第一項に規定する記録又は第二項に規定する記録(以下「傍受記録」と総称する。)」に、「同項第四号」を「第三項第四号又は前項第四号」に改め、同項ただし書中「同項第一号」を「第三項第一号から第三号まで又は前項第一号」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項中「傍受記録は、第十九条第一項後段」を「第一項に規定する記録は、第二十四条第一項後段若しくは第二十六条第二項」に、「第二十条第二項」を「第二十五条第三項」に改め、「作成した」の下に「同条第一項の記録媒体の」を加え、同項第二号中「第十三条第二項」を「第十四条第二項」に改め、同項第三号中「第十四条」を「第十五条」に、「第十三条第二項」を「第十四条第二項」に改め、同項を同条第三項とし、同項の次に次の一項を加える。
4 第二項に規定する記録は、第二十四条第一項後段若しくは第二十六条第二項の規定により記録をした記録媒体又は第二十五条第三項の規定により作成した同条第二項の記録媒体の複製から、次に掲げる通信以外の通信の記録を消去して作成するものとする。
 一 傍受すべき通信に該当する通信
 二 第二十一条第四項(第二十三条第四項においてその例による場合を含む。次号において同じ。)の規定により再生をした通信であって、なおその内容を復元するための措置を要するもの
 三 第二十一条第五項(第二十三条第四項においてその例による場合を含む。)の規定により再生をした通信及び第二十一条第四項の規定により再生をした通信であって第十五条に規定する通信に該当すると認められるに至ったもの
 四 前三号に掲げる通信と同一の通話の機会に行われた通信
 第二十二条第一項の次に次の一項を加える。 2 検察官又は司法警察員は、再生の実施を中断し又は終了したときは、その都度、速やかに、再生をした通信の内容を刑事手続において使用するための記録一通を作成しなければならない。再生の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とする。
 第二十二条を第二十九条とする。
 第二十一条の見出しを削り、同条第一項中「前条第三項」を「第二十五条第四項」に改め、同項第二号中「立会人」を「第十三条第一項の規定による立会人」に改め、同項第三号中「第十二条第二項」を「第十三条第二項」に改め、同項第六号中「第十四条」を「第十五条」に改め、同項第七号中「記録媒体」を「傍受の実施をしている間において記録媒体」に改め、同項第八号中「前条第一項」を「第二十五条第一項」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項第六号」を「第一項第六号又は前項第四号」に、「第十四条」を「第十五条」に、「第二十六条第三項」を「第三十三条第三項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 検察官又は司法警察員は、第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施をしたときは、前項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。同号の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長を請求する時も、同様とする。
 一 第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時
 二 第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時
 三 第二十三条第一項第一号の規定による傍受をした通信については、傍受の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項
 四 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由
 五 傍受の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時
 六 前各号に掲げるもののほか、第二十三条第一項第一号の規定による傍受の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項
 第二十一条を第二十七条とし、同条の前に見出しとして「(傍受の実施の状況を記載した書面等の提出等)」を付し、同条の次に次の一条を加える。 第二十八条 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をした期間のうちに第二十条第一項の規定による傍受の実施をした期間があるときは、前条第一項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に第二十条第一項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって第二十一条第一項の規定による復号をされていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、当該期間以外の期間に関しては前条第一項各号に掲げる事項を、第二十条第一項の規定による傍受の実施をした期間に関しては次に掲げる事項を、それぞれ記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。第二十条第一項の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長を請求する時も、同様とする。
 一 指定期間の開始及び終了の年月日時
 二 第二十条第一項の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時
 三 第二十条第一項の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時
 四 第二十一条第一項の規定による再生の実施の開始、中断及び終了の年月日時
 五 第二十一条第一項において準用する第十三条第一項の規定による立会人の氏名及び職業
 六 第二十一条第一項において準用する第十三条第二項の規定により立会人が述べた意見
 七 第三号に規定する通話のうち第二十一条第一項の規定による復号をされた暗号化信号、同項の規定による復号をされる前に消去された暗号化信号及びそれら以外の暗号化信号にそれぞれ対応する部分を特定するに足りる事項
 八 第二十一条第一項の規定による再生をした通信については、再生の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項
 九 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由
 十 再生の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時
 十一 第二十五条第二項の規定による封印の年月日時及び封印をした立会人の氏名
 十二 前各号に掲げるもののほか、第二十条第一項の規定による傍受の実施又は第二十一条第一項の規定による再生の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項
2 検察官又は司法警察員は、傍受の実施をした期間のうちに第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をした期間があるときは、前条第二項の規定にかかわらず、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に同号の規定により一時的保存をした暗号化信号であって第二十三条第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、当該期間以外の期間に関しては前条第二項各号に掲げる事項を、第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をした期間に関しては次に掲げる事項を、それぞれ記載した書面を、第二十五条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。同号の規定による傍受の実施をした後に第七条の規定により傍受ができる期間の延長をする時も、同様とする。
 一 第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施の開始、中断及び終了の年月日時
 二 第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時
 三 第二十三条第四項の規定による再生の実施の開始、中断及び終了の年月日時
 四 第二号に規定する通話のうち第二十三条第四項の規定による復号をした暗号化信号、同項の規定による復号をする前に消去した暗号化信号及びそれら以外の暗号化信号にそれぞれ対応する部分を特定するに足りる事項
 五 第二十三条第四項の規定による再生をした通信については、再生の根拠となった条項、その開始及び終了の年月日時並びに通信の当事者の氏名その他その特定に資する事項
 六 第十五条に規定する通信については、当該通信に係る犯罪の罪名及び罰条並びに当該通信が同条に規定する通信に該当すると認めた理由
 七 再生の実施をしている間において記録媒体の交換をした年月日時
 八 前各号に掲げるもののほか、第二十三条第一項第二号の規定による傍受の実施又は同条第四項の規定による再生の実施の状況に関し最高裁判所規則で定める事項
3 前二項に規定する書面の提出を受けた裁判官は、前条第一項第六号若しくは第二項第四号又は第一項第九号若しくは前項第六号の通信については、これが第十五条に規定する通信に該当するかどうかを審査し、これに該当しないと認めるときは、当該通信の傍受又は再生の処分を取り消すものとする。この場合においては、第三十三条第三項、第五項及び第六項の規定を準用する。
 第二十条第一項中「した記録媒体」の下に「(次項に規定する記録媒体を除く。)」を加え、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「第二十二条第二項」を「第二十九条第三項又は第四項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 第二十一条第一項の規定による再生をした通信を前条第一項前段の規定により記録をした記録媒体については、再生の実施を中断し又は終了したときは、速やかに、立会人にその封印を求めなければならない。再生の実施をしている間に記録媒体の交換をしたときその他記録媒体に対する記録が終了したときも、同様とする。
 第二十条を第二十五条とし、同条の次に次の一条を加える。
 (特定電子計算機を用いる通信傍受の記録等)
第二十六条 第二十三条第一項の規定による傍受をしたときは、前二条の規定にかかわらず、特定電子計算機及び第九条第二号ロの規定により提供された変換符号を用いて、傍受をした通信(同項第二号の規定による傍受の場合にあっては、第二十三条第四項の規定による再生をした通信。以下この項及び次項において同じ。)について、全て、暗号化をして記録媒体に記録するとともに、傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時、傍受をした通信の開始及び終了の年月日時その他政令で定める事項について、暗号化をして当該記録媒体に記録しなければならない。
2 前項の場合においては、第二十九条第三項又は第四項の手続の用に供するため、同時に、傍受をした通信及び前項に規定する事項について、全て、他の記録媒体に記録するものとする。
3 第二十三条第一項の規定による傍受の実施(同項第二号の規定によるものの場合にあっては、同条第四項の規定による再生の実施)を中断し又は終了するときは、その時に使用している記録媒体に対する記録を終了しなければならない。
4 第一項の規定により記録をした記録媒体については、傍受の実施の終了後(傍受の実施を終了する時に第二十三条第一項第二号の規定により一時的保存をした暗号化信号であって同条第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、再生の実施の終了後)、遅滞なく、前条第四項に規定する裁判官に提出しなければならない。
 第十九条第一項中「した通信」の下に「(第二十条第一項の規定による傍受の場合にあっては、第二十一条第一項の規定による再生をした通信)」を加え、「すべて」を「全て」に、「第二十二条第二項」を「第二十九条第三項又は第四項」に改め、同条第二項中「傍受の実施」の下に「(第二十条第一項の規定によるものの場合にあっては、第二十一条第一項の規定による再生の実施)」を加え、同条を第二十四条とする。
 第二章中第十八条を第十九条とし、同条の次に次の見出し及び四条を加える。
 (一時的保存を命じて行う通信傍受の実施の手続) 第二十条 検察官又は司法警察員は、裁判官の許可を受けて、通信管理者等に命じて、傍受令状の記載するところに従い傍受の実施をすることができる期間(前条の規定により傍受の実施を終了した後の期間を除く。)内において検察官又は司法警察員が指定する期間(当該期間の終期において第十八条の規定により傍受の実施を継続することができるときは、その継続することができる期間を含む。以下「指定期間」という。)に行われる全ての通信について、第九条第一号の規定により提供された変換符号を用いた原信号(通信の内容を伝達するものに限る。)の暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号について一時的保存をさせる方法により、傍受をすることができる。この場合における傍受の実施については、第十三条の規定は、適用しない。
2 検察官又は司法警察員は、前項の規定による傍受をするときは、通信管理者等に命じて、指定期間内における通話の開始及び終了の年月日時に関する情報を伝達する原信号について、同項に規定する変換符号を用いた暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号について一時的保存をさせるものとする。
3 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による傍受をするときは、次条第七項の手続の用に供するため、通信管理者等に対し、同項の手続が終了するまでの間第一項の規定による傍受をする通信の相手方の電話番号等の情報を保存することを求めることができる。この場合においては、第十七条第二項後段の規定を準用する。
4 通信管理者等が前項の電話番号等の情報を保存することができないときは、検察官又は司法警察員は、これを保存することができる通信事業者等に対し、次条第七項の手続の用に供するための要請である旨を告知して、同項の手続が終了するまでの間これを保存することを要請することができる。この場合においては、第十七条第三項後段の規定を準用する。
5 検察官及び司法警察員は、指定期間内は、傍受の実施の場所に立ち入ってはならない。
6 検察官及び司法警察員は、指定期間内においては、第一項に規定する方法によるほか、傍受の実施をすることができない。
7 第一項の規定による傍受をした通信の復号による復元は、次条第一項の規定による場合を除き、これをすることができない。
第二十一条 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による傍受をしたときは、傍受の実施の場所(指定期間以外の期間における傍受の実施の場所が定められているときは、その場所)において、通信管理者等に命じて、同項の規定により一時的保存をされた暗号化信号について、第九条第一号の規定により提供された対応変換符号を用いた復号をさせることにより、同項の規定による傍受をした通信を復元させ、同時に、復元された通信について、第三項から第六項までに定めるところにより、再生をすることができる。この場合における再生の実施(通信の再生をすること並びに一時的保存のために用いられた記録媒体について直ちに再生をすることができる状態で一時的保存の状況の確認及び暗号化信号の復号をすることをいう。以下同じ。)については、第十一条から第十三条までの規定を準用する。
2 検察官又は司法警察員は、前項の規定による再生の実施をするときは、通信管理者等に命じて、前条第二項の規定により一時的保存をされた暗号化信号について、前項に規定する対応変換符号を用いた復号をさせることにより、同条第二項の規定により暗号化をされた通話の開始及び終了の年月日時に関する情報を伝達する原信号を復元させるものとする。
3 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信のうち、傍受すべき通信に該当する通信の再生をすることができるほか、傍受すべき通信に該当するかどうか明らかでないものについては、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断するため、これに必要な最小限度の範囲に限り、当該通信の再生をすることができる。
4 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信のうち、外国語による通信又は暗号その他その内容を即時に復元することができない方法を用いた通信であって、再生の時にその内容を知ることが困難なため、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断することができないものについては、その全部の再生をすることができる。この場合においては、速やかに、傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行わなければならない。
5 検察官又は司法警察員は、第一項の規定による復号により復元された通信の中に、第十五条に規定する通信があるときは、当該通信の再生をすることができる。
6 第十六条の規定は、第一項の規定による復号により復元された通信の再生をする場合について準用する。
7 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による傍受をした通信について、これが傍受すべき通信若しくは第五項の規定により再生をすることができる通信に該当するものであるとき、又は第三項若しくは第四項の規定による傍受すべき通信に該当するかどうかの判断に資すると認めるときは、同条第三項の規定による求め又は同条第四項の規定による要請に係る電話番号等のうち当該通信の相手方のものの開示を受けることができる。この場合においては、第十七条第一項後段の規定を準用する。
8 第一項の規定による再生の実施は、傍受令状に記載された傍受ができる期間内に終了しなかったときは、傍受令状に記載された傍受ができる期間の終了後できる限り速やかに、これを終了しなければならない。
9 第一項の規定による再生の実施は、傍受の理由又は必要がなくなったときは、傍受令状に記載された傍受ができる期間内であっても、その開始前にあってはこれを開始してはならず、その開始後にあってはこれを終了しなければならない。ただし、傍受の理由又は必要がなくなるに至るまでの間に一時的保存をされた暗号化信号については、傍受すべき通信に該当する通信が行われると疑うに足りる状況がなくなったこと又は傍受令状に記載された傍受の実施の対象とすべき通信手段が被疑者が通信事業者等との間の契約に基づいて使用しているものではなくなったこと若しくは犯人による傍受すべき通信に該当する通信に用いられると疑うに足りるものではなくなったことを理由として傍受の理由又は必要がなくなった場合に限り、再生の実施をすることができる。
第二十二条 通信管理者等は、前条第一項の規定による復号が終了したときは、直ちに、第二十条第一項の規定により一時的保存をした暗号化信号を全て消去しなければならない。前条第二項の規定による復号が終了した場合における第二十条第二項の規定により一時的保存をした暗号化信号についても、同様とする。
2 検察官又は司法警察員は、前条第一項の規定による再生の実施を終了するとき又は同条第九項の規定により再生の実施を開始してはならないこととなったときに、第二十条第一項及び第二項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって前条第一項及び第二項の規定による復号をされていないものがあるときは、直ちに、通信管理者等に命じて、これを全て消去させなければならない。
 (特定電子計算機を用いる通信傍受の実施の手続)
第二十三条 検察官又は司法警察員は、裁判官の許可を受けて、通信管理者等に命じて、傍受の実施をしている間に行われる全ての通信について、第九条第二号イの規定により提供された変換符号を用いた原信号(通信の内容を伝達するものに限る。)の暗号化をさせ、及び当該暗号化により作成される暗号化信号を傍受の実施の場所に設置された特定電子計算機に伝送させた上で、次のいずれかの傍受をすることができる。この場合における傍受の実施については、第十三条の規定は適用せず、第二号の規定による傍受については、第二十条第三項及び第四項の規定を準用する。
 一 暗号化信号を受信するのと同時に、第九条第二号ロの規定により提供された対応変換符号を用いて復号をし、復元された通信について、第三条及び第十四条から第十六条までに定めるところにより、傍受をすること。
 二 暗号化信号を受信するのと同時に一時的保存をする方法により、当該暗号化信号に係る原信号によりその内容を伝達される通信の傍受をすること。
2 前項に規定する「特定電子計算機」とは、次に掲げる機能の全てを有する電子計算機をいう。
 一 伝送された暗号化信号について一時的保存の処理を行う機能
 二 伝送された暗号化信号について復号の処理を行う機能
 三 前項第一号の規定による傍受をした通信にあってはその傍受と同時に、第四項の規定による再生をした通信にあってはその再生と同時に、全て、自動的に、暗号化の処理をして記録媒体に記録する機能
 四 傍受の実施をしている間における通話の開始及び終了の年月日時、前項第一号の規定による傍受をした通信の開始及び終了の年月日時、第四項の規定による再生をした通信の開始及び終了の年月日時その他政令で定める事項に関する情報を伝達する原信号を作成し、当該原信号について、自動的に、暗号化の処理をして前号の記録媒体に記録する機能
 五 第三号の記録媒体に記録される同号の通信及び前号の原信号について、前二号に掲げる機能により当該記録媒体に記録するのと同時に、暗号化の処理をすることなく他の記録媒体に記録する機能
 六 入力された対応変換符号(第九条第二号ロの規定により提供されたものに限る。)が第二号に規定する復号以外の処理に用いられることを防止する機能
 七 入力された変換符号(第九条第二号ロの規定により提供されたものに限る。)が第三号及び第四号に規定する暗号化以外の処理に用いられることを防止する機能
 八 第一号に規定する一時的保存をされた暗号化信号について、第二号に規定する復号をした時に、全て、自動的に消去する機能
3 検察官及び司法警察員は、傍受令状に第一項の許可をする旨の記載がある場合には、同項に規定する方法によるほか、傍受の実施をすることができない。
4 検察官又は司法警察員は、第一項第二号の規定による傍受をしたときは、傍受の実施の場所において、同号の規定により一時的保存をした暗号化信号について、特定電子計算機(第二項に規定する特定電子計算機をいう。第六項及び第二十六条第一項において同じ。)を用いて、第九条第二号ロの規定により提供された対応変換符号を用いた復号をすることにより、第一項第二号の規定による傍受をした通信を復元し、同時に、復元された通信について、第二十一条第三項から第六項までの規定の例により、再生をすることができる。この場合における再生の実施については、第十一条、第十二条及び第二十一条第七項から第九項までの規定を準用する。
5 第一項第二号の規定による傍受をした通信の復号による復元は、前項の規定による場合を除き、これをすることができない。
6 検察官又は司法警察員は、第一項第二号の規定により一時的保存をした暗号化信号については、特定電子計算機の機能により自動的に消去されるもの以外のものであっても、第四項の規定による再生の実施を終了するとき又は同項において準用する第二十一条第九項の規定により再生の実施を開始してはならないこととなったときに、第四項の規定による復号をしていないものがあるときは、直ちに、全て消去しなければならない。
 第十七条を第十八条とする。
 第十六条第一項中「第十四条」を「第十五条」に、「第十三条」を「第十四条」に改め、同条を第十七条とし、第十三条から第十五条までを一条ずつ繰り下げる。
 第十二条第一項中「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者又はこれに代わるべき者」及び「これらの者」を「通信管理者等」に改め、同条を第十三条とし、第十一条を第十二条とし、第十条を第十一条とする。
 第九条第一項中「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者(会社その他の法人又は団体にあっては、その役職員。以下同じ。)又はこれに代わるべき者」を「通信管理者等」に改め、同条を第十条とし、第八条の次に次の一条を加える。
 (変換符号及び対応変換符号の作成等)
第九条 裁判所書記官その他の裁判所の職員は、次の各号に掲げる場合には、裁判官の命を受けて、当該各号に定める措置を執るものとする。
 一 傍受令状に第二十条第一項の許可をする旨の記載があるとき同項の規定による暗号化に用いる変換符号及びその対応変換符号を作成し、これらを通信管理者等に提供すること。
 二 傍受令状に第二十三条第一項の許可をする旨の記載があるとき次のイからハまでに掲げる措置
  イ 第二十三条第一項の規定による暗号化に用いる変換符号を作成し、これを通信管理者等に提供すること。
  ロ イの変換符号の対応変換符号及び第二十六条第一項の規定による暗号化に用いる変換符号を作成し、これらを検察官又は司法警察員が傍受の実施に用いるものとして指定した特定電子計算機(第二十三条第二項に規定する特定電子計算機をいう。)以外の機器において用いることができないようにするための技術的措置を講じた上で、これらを検察官又は司法警察員に提供すること。
  ハ ロの検察官又は司法警察員に提供される変換符号の対応変換符号を作成し、これを保管すること。
  別表第一及び別表第二中「第十四条」を「第十五条」に改める。

(以下略)

盗聴法について考えるに戻る
本文目次に戻る
盗聴法シリーズPlus目次に戻る