盗聴法(通信傍受法)に関する調査 第25回参議院議員選挙立候補者・三重県選挙区編


盗聴法(通信傍受法)に関する調査 送付した文面(全文)

調査(アンケート)を送付した立候補者(届け出順。名前欄のリンク先に回答が載っています)
立候補者年齢所属経験公式サイト
堀江 珠恵
(ほりえ たまえ)
47参政堀江たまえ・Official site
芳野 正英
(よしの まさひで)
47無所属<立民>芳野正英 Official Site | よしのまさひで.jp
門田 節代
(かどた せつよ)
54N党伊賀市からNHKをぶっ壊す!
山本佐知子
(やまもと さちこ)
54自民[公式]山本さちこ後援会 | 自由民主党三重県参議院選挙区第二支部長

 質問事項は以下の通りです。読者編・2021年衆議院総選挙編と比べ、一部の項目を加筆修正し、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」開催の閣議決定などを受け、追加した質問もあります。
 掲載は届け出順です。一応の締め切りは7月6日ですが、以降も回答を頂ければ掲載します。
 なお、公職選挙法による規制は無くなりましたが、選挙期間中は、論評を加えず公開します。

盗聴法(通信傍受法)に関する調査 送付した文面(全文、個人情報のみ省略)

第26回参議院議員通常選挙 三重県選挙区候補者へのアンケート

前略 参議院議員通常選挙に立候補を予定され、日々のご健闘に敬意を表します。

 私は盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、通信傍受法)について関心を持っている有権者です。
 2016[平成28年]5月24日、盗聴法(通信傍受法)の盗聴(通信傍受)対象拡大・要件緩和などを内容とした法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律に内包)が可決しました。同法は2019[令和元年]6月1日までに、すべて施行されています。
 盗聴法(通信傍受法)は1999[平成11年]の成立前後から、賛否両論から大いに議論されました。また、成立直後に警察不祥事が相次いで明らかになるなど、その後も法の是非について議論が絶えませんでした。特に、インターネットなど電子通信に対する悪影響は当初から心配されました。

 その後、盗聴法(通信傍受法)廃止論が根強くある一方、共謀罪や児童ポルノ取り締まり、組織犯罪対策などに関連し、より強化すべきとの意見も挙がりました。
 また、法案審議でも通信傍受(盗聴)の先進国として言及されたアメリカでは、エドワード=スノーデン氏によって、アメリカ国家安全保障局(NSA)による、大規模なネット、電話など通信情報を収集・監視している実態の一端が明らかになりました。Apple、Facebook、Google、Microsoft、Yahoo!、YouTubeなど通信大手9社に協力させた「PRISM」を構築し、英紙『Guardian』、内部告発サイト「WikiLeaks」によると日本政府も盗聴の対象だったと報じられています。イギリスの政府通信本部(GCHQ)もG20などで盗聴を行ったと報じられ、その他の国・地域による盗聴も随時報じられています。
 諸外国・地域による大規模な盗聴は、情報収集それ自体の脅威と、日本における盗聴(通信傍受)拡大の行き着く先を想像させます。

 「法制審議会−新時代の刑事司法制度特別部会」では、取調可視化導入と並行して通信傍受(盗聴)拡大が議論され、対象罪状の追加、現行法で規定されている立会人省略などが提案されました。
  「法制審議会−新時代の刑事司法制度特別部会」では、取調可視化導入と並行して通信傍受(盗聴)拡大が議論され、対象罪状の追加、現行法で規定されている立会人省略などが提案されました。
 2016[平成28年]5月24日、盗聴法(通信傍受法)の盗聴(通信傍受)対象拡大・要件緩和などを内容とした法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律に内包)が可決しました。これらは法制審議会の答申に基づく内容でした。同法は2019[令和元年]6月1日までに、すべて施行されています。
 また、同時に施行された刑事訴訟法附則第九条により、施行後3年おきに取調可視化などの「制度の在り方について検討を加え」るものとされました。これに基づき、2022[令和4]年5月31日、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」開催が閣議決定されました。
 法務省によると、協議会では通信傍受(盗聴)拡大も議論するとしています。

 2020[令和2]年よりCOVID(コヴィツド)-19(新型コロナウイルス)が世界的に流行しました。その対策もあり、コンピュータ通信の重要性は増す一方です。と同時に、諸外国・地域による大規模な盗聴は、情報収集それ自体の脅威と、日本における盗聴(通信傍受)拡大の行き着く先を想像させます。
 また、同年に米国・英国・豪州・加奈陀(カナダ)・新西蘭(ニュージーランド)による“Five Eyes(ファイブ・アイズ)”、すなわちUKUSA(ユークーサ)協定に基づく盗聴・諜報の協力関係に、日本も加盟すべきという主張が、河野太郎防衛大臣(当時)などから行われたのも注目すべき一件です。通信傍受(盗聴)の公然たる国際協力を意味するからです。
 他方、2014[平成26]年よりロシアがウクライナを侵略し、今年全面戦争に踏み切りました。通信妨害などを織り交ぜた「ハイブリッド戦争」と称され、ここでもコンピュータ通信が大きな役割をしています。
 私は、盗聴(通信傍受)法のあり方その他が、大きな争点となっていない事を憂慮しています。

そこでこの度、三重県選挙区に立候補された
       候補の盗聴法(通信傍受法)に対する姿勢を投票の基準とさせていただき
たいと思い、以下の質問をさせていただきます。                               草々

                              上野 良樹



追伸

質問とは別に、法律や関連記事のURLを同封しました。参考にしていただければ、幸いに存じます。


-------------------アンケートはここから-------------------
■問1;
犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、盗聴法(通信傍受法)について、どの程度知っていますか。

a,よく知っている
b,ある程度は知っている
c,聞いたことはある
d,知らない

■問2;
現在施行されている盗聴法(通信傍受法)について賛成ですか、それとも反対ですか。

a.賛成  b,どちらかといえば賛成
c,反対  d,どちらかといえば反対
e,分からない  f,その他
(                            )

■問3;
問2で、「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答された方にのみお聞きします。
その理由を教えてください。(複数回答可)

a,犯罪の摘発に役立つから  b,犯罪の抑止力になるから
c,欧米各国にある制度だから  d,国防を含めた治安維持に役立つから
e,インターネット規制に役立つから  f,反政府的な思想を取り締まれるから
g,暴力団など組織犯罪対策に有効だから  h.国際組織犯罪に有効だから
i,その他(                            )
j,分からない

■問4;
問2で、「反対」「どちらかといえば反対」と回答された方にのみお聞きします。その理由を教えてください。(複数回答可)

a,犯罪に関係がない通信も聞かれる恐れがあるから
b,犯罪の摘発に役立たないから
c,警察などに監視される恐れがあるから
d,令状を出す裁判所のチェック機能に疑問があるから
e,インターネットが規制されるから  f,反政府的な思想が取り締まられるから
g,暴力団など組織犯罪対策に有効でないから  h.国際組織犯罪に有効ではないから
i,その他(                            )
j,分からない

■問5;盗聴法(通信傍受法)について、普段どう呼んでいますか。

a,盗聴法  b,通信傍受法  c,組織犯罪対策法
d,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律  e,秘聴法
f,傍聴法  g,自由盗聴法
h,その他(             )  i,特に決めていない
j,分からない

■問6;
盗聴法(通信傍受法)について、組織犯罪対策に効果があったと思いますか。それとも、なかったと思いますか。

a,適正な効果があった  b,効果はあったが、十分ではなかった
c,効果はないが、他の犯罪に効果があった  d,全く効果はなかった
e,その他(                            )
f,分からない

■問7;
盗聴法(通信傍受法)はインターネット(Web・SNS・電子メールなど)、コンピュータ通信が対象に含まれています。このことは、コンピュータ通信にとって、よい影響があったと思いますか。それとも、悪い影響があったと思いますか。

a,よい影響があった  b,どちらかといえば、よい影響があった
c,どちらかといえば、悪い影響があった  d,悪い影響があった
e,どちらの影響もなかった  f,わからない
g,その他(                            )

■問8;
盗聴法(通信傍受法)第一条には「数人の共謀によって実行される」組織犯罪対策の法律とありますが、数人とは二人以上を指します(衆議院法務委員会(1999(平成11)年5月21日)・法務省の松尾邦弘刑事局長答弁)。このことはご存じですか。

a,知っている
b,知らない

■問9;
2016[平成28]年の改正で追加された盗聴法(通信傍受法)第二条の4以下及び第二十条以下では、通信の暗号・復号と一時的保存の規定が追加されました。これは盗聴(傍受)対象者が使用する通話・コンピュータ通信の内容を一括して記録し、また通信業者より警察施設に盗聴(傍受)内容を電送し、警察施設での復号・閲覧を可能にするものです。このことはご存じですか。

a,知っている
b,知らない

■問10;
盗聴法(通信傍受法)は日本國憲法上、合憲と思いますか。それとも、違憲と思いますか。

a,合憲
b,違憲
c,どちらとも言えない
d,その他(                        )
e,分からない

■問11,日本國憲法二十一条にある通信の秘密不可侵についておたずねします。この規定は維持すべきでしょうか、それとも改変すべきでしょうか。

a,維持すべきである  b,改憲し、憲法で制限を明記すべきである
c,改憲し、憲法で権利をより強調すべきである
d,改憲し、プライバシー権を創設してその中に統合すべきである
e,その他(                                   )
f,分からない

■問12;
盗聴法(通信傍受法)の今後について、どうすれば良いと思いますか。

a,盗聴(通信傍受)を拡大すべきである
b,改正前の内容に戻すべきである
c,改正前よりさらに盗聴(通信傍受)の制限を厳しくするべきである
d,今のままでよい
e,廃止すべきである
f,その他
g,分からない

■問13;問12で、aまたはcと回答された方のみお聞きします。盗聴(通信傍受)をどのように拡大、または縮小するべきか、具体的に挙げて下さい。(自由回答)












■問14,2022[令和4]年5月31日、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」の開催が閣議決定されました。共同通信によると、同協議会は被疑者の取調可視化の拡大や、また法務省見解として、「通信傍受の対象犯罪の拡大や、司法取引など」を「幅広く話し合う見通し」としています。
盗聴(通信傍受)と取調可視化などは連動して議論すべきでしょうか。それとも、個別に議論すべきでしょうか。

a,連動して議論すべきである
b,個別に議論すべきである
c,その他(                                        )
d,分からない

■問15,2012年[平成24年]7月3日に批准した「サイバー犯罪に関する条約」第二十一条では、では「通信内容の傍受」について、「必要な立法その他の措置をとる」と定めています。これについては、どう考えていますか。

a,2016年の法改正で十分である
b,2016年の法改正では不十分なので、さらなる法改正が必要である
c,法改正を行わず、様子を見るべきである
d,法改正を行わず、盗聴法(通信傍受法)に関する条文では、批准を留保または破棄すべきである
e,その他(                                          )
f,分からない

■問16,同じく、「サイバー犯罪に関する条約」第二十九条では、条約締結国は、コンピュータ・データの保全を他の締結国に要請することができ、「他の条約締結国から要請を受けた場合」「締約国は、要請に応ずるに当たり、双罰性をその保全を行うための条件として要求してはならない」と定めています。要請国の法で要請可能な罪状ならば、相手国で罪にならない内容でも構わないというものですが、これについては、どう考えていますか。

a,特に構わない
b,要請国に合わせ、自国の法も改正するべきである
c,法改正を行わず、盗聴法(通信傍受法)に関する条文では、批准を留保または破棄すべきである
d,その他(                                          )
e,分からない

■問17,2011年[平成23年]6月17日に成立した、刑法などの改正案(情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律)は、「サイバー犯罪に関する条約」批准を前提とした法律で、またコンピュータ通信の通信履歴の差し押さえを可能にしたものです。 この法律についてどう考えますか。

a,賛成
b,反対
c,何らかの修正が必要(                                    ) d,分からない

■問18,諸外国・地域による盗聴(通信傍受)について、どのように対処すべきとお考えですか。(複数回答可)

a,何もしない
b,システム暗号化など、セキュリティを強化する
c,量子暗号など、防御技術の開発を進める
d,盗聴(通信傍受)に関する教育を進める
e,通信に関わる企業・団体へのチェックを厳しくする
f,対抗して盗聴(通信傍受)を行う
g,外交問題として取り上げる
h,コンピュータ・電話によらない通信を利用する
i,逆に協力して情報を得る
j,その他(



                                                )
k,分からない

■問19,元NSA(アメリカ国家安全保障局)職員のエドワード=スノーデン氏は、NSAが日本を対象にした盗聴、諜報活動を行っていると告発しました。この告発は、信用できるとお考えでしょうか。それとも、信用できないとお考えでしょうか。

a,信用できる  b,信用できない
c,どちらともいえない  d,分からない

■問20,NSAなどによる日本大使館盗聴疑惑について、日本政府は「日米間でしかるべき実態把握のための意思疎通を行ったところでございますが、事柄の性質上、その詳細を公で申し上げるのは差し控えさせていただきたい」(参議院外交防衛委員会(2019[令和元]年5月9日)・河野太郎外務大臣)と答弁しました。
政府は詳細を公表すべきとお考えでしょうか。それとも、公表すべきでないとお考えでしょうか。

a,すぐに公表すべきである  b,時期を見て公開すべきである
c,将来にわたって公表すべきでない  d,分からない


■問21,仮に、諸外国・地域の諜報機関が、盗聴の協力を持ちかけてきた場合、どのように対応すべきと考えますか。
a,応じる  b,状況によっては応じる
c,応じない  d,その他(                        )
e,分からない


■問22,
ロシア(現在はイギリス本社)のセキュリティソフト大手・カスペルスキー製品に対し、米国やドイツはロシア政府への情報漏洩の危険性があるとして、代替製品利用の勧告を出しました。
日本はどう対応すべきと考えますか。
(複数回答可)

a,何もしない
b,危険性に関する調査を行う
c,危険性に関する勧告・情報公開を行う
d,省庁・自衛隊など公的機関の利用を制限する
e,一般の利用を含め制限する
f,その他(                               )
g,分からない

■ご協力いただきありがとうございました。

参考条文・条約

犯罪捜査のための通信傍受に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000137
刑事訴訟法等の一部を改正する法律
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19020160603054.htm

サイバー犯罪に関する条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_4.html 外務省訳
https://www.coe.int/en/web/conventions/full-list?module=treaty-detail&treatynum=185 英語正文

情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110624074.htm

法制審議会−新時代の刑事司法制度特別部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500012.html
配布資料62 作業分科会における検討(1)
https://www.moj.go.jp/content/000111817.pdf

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00142.html

NSA・GCHQによる情報収集
Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001(米愛国者法)
https://www.congress.gov/107/plaws/publ56/PLAW-107publ56.pdf

Foreign Intelligence Surveillance Act of 1978(米外国諜報活動偵察法)
https://www.govinfo.gov/content/pkg/STATUTE-92/pdf/STATUTE-92-Pg1783.pdf

Edward Snowden: the whistleblower behind the NSA surveillance revelations Monday 10 June 2013
(英ガーディアン紙によるスノーデン氏インタビュー)
https://www.guardian.co.uk/world/2013/jun/09/edward-snowden-nsa-whistleblower-surveillance
(on 2015-07-31) Target Tokyo(WikiLeaks、英語)
https://wikileaks.org/nsa-japan/

オバマ大統領「通話内容は傍受していない」
2013.06.09 Sun posted at 12:37 JST
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=rENTl5JKzlQ ABC

https://www.nsa.gov/ NSA公式
https://www.gchq.gov.uk/ GCHQ公式



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